シンポジウム

■シンポジウム分科会共催 2025年12月6日  New
 2025年12月6日~12月7日の2日間、日本科学者会議・東京支部 第23回東京科学シンポジウムが中央大学多摩キャンパスにてオンライン併用で開催されました。
 第2分科会「気候危機・エネルギーと市民の生活改善」(設置責任者:佐川)は12月6日に当研究委員会と共催で開催され、現地で9人、オンライン23人で合わせて32人の参加がありました。
 最初の報告2本は地域での建設の問題です。FEC自給圏ネットワークの福井富久子さんが「『風力発電計画について考えてみるシンポジウム』を開催して」のタイトルで報告下さいました。風力発電の企業の計画に対して地元の市民から反対の声がある中で、実施企業や研究者、地元との対話を繰り返してきました。事業者が地元への積極的な提案をしていったのが印象的でした。
 武蔵野通研分会の石綿勇さんの「昭島市の巨大物流・データセンター建設問題と住民反対運動」は、本人のご事情により佐川が代理でご紹介しました。2022年に考える会が地元で結成されてからの住民の主な要求と実施企業や行政への働きかけなどを紹介しました。
 産業技術総合研究所の歌川学さんからは、「地域・家庭における新技術にも我慢にも依存しない地域」と題して、幅広い省エネ・再エネの可能性をご紹介。2030年に全国で二酸化炭素の排出を70%削減し化石燃料輸入費を大幅に削減できることに加え、家庭でも太陽光発電・省エネ機器・窓の断熱などにより数年で元が取れ、排出も大幅に削減できるという話が好評でした。
 一橋大学の古賀勇人さんからは「日本におけるエネルギー貧困とは何か」のタイトルで、欧州やイギリスではよく知られた「エネルギー貧困」をそもそもから話していただきました。エネルギー貧困が健康に悪いだけでなく、社会的な生活の質が下がり、孤立も深まり、学習や就労のパフォーマンスも低下し、貧困を再生産してしまうなど、生活に深刻な影響を及ぼすことが指摘されました。札幌でのヒアリングでの実態も印象的でした。
 東大院生分会の佐藤和宏さんからは、「エネルギー政策をめぐる対立軸とその構造」と題して、自民党内のエネルギーをめぐる意見の相違や太陽光ヘイトなど、多岐にわたる政治の問題を分析下さいました。エネルギー貧困を環境運動も強く取り上げていくべきとの指摘には強く共感しました。
古賀さんと佐藤さんは雑誌『地平』2026年1月号にも書かれているので、是非ご一読ください。                                 (佐川)

シンポジウム参加 2024年8月24日~25日
 日本科学者会議原子力問題研究委員会主催の「第39回原子力発電問題 全国シンポジウム2024敦賀」に参加し、24日に原発(日本原電敦賀、高速増殖炉「もんじゅ」、関電美浜1,2,3号機)を見学し、25日にシンポジウムで講演を行いました。基調講演は下記の3件でした。対面とリモートを合わせて約140名の参加があり、活発な議論が行われました。
山田耕作(京都大学名誉教授) 「原発の危険性と放射線被ばく」
河野仁(兵庫県立大学名誉教授)
     「温室効果ガスによる気候変動と自然エネルギー、省エネによる対策
岡本良治(九州工業大学名誉教授)
     「新原子力規制基準で原発は安全になったか」-深層防御の形骸化・矮小化
 基調講演の後、9件のポスター発表と4件の一般発表が行われ、原発のない社会づくりのための検証と展望について多面的な議論と意見交換がなされました。
 私は原発を現地で見るのは初めてでしたが、やはり実物を見るのは大事です。敦賀湾、若狭湾は海水浴場があり、原発がなければ非常に環境の良いところです(写真)。若い時に敦賀に海水浴に来たのを思い出します。見学会で原発反対運動を進めている敦賀市会議員(共産党)山本貴美子さんの説明では、国からの電源三法交付金の他、日本原電からの固定資産税、道路建設などへの多額の寄附により、ハコモノ行政が続けられ、原発依存体質になっているとのことです。また、敦賀市議会で原発に反対の意見を言う議員は残念ながら日本共産党の議員2人だけとのことです。政府を変え、国の金の使い方を変え、原発を廃止し、自然エネルギーに投資し、地方の産業育成をすれば、福井一帯を風光明媚な素晴らしい観光地にできるのではないかと思いました。                    (河野)

シンポジウム開催 2024年5月11日 
 5月11日に本委員会が「地方自治体における温室効果ガス削減計画と対策-実行の仕組み作り・市民参加-シンポジウム」を開催した(協賛:気候ネットワーク、日本環境学会、公害・地球環境問題懇談会)。オンラインで34人が参加した。
 シンポジウムのねらいは、日本の科学者2024年2月特集「地方自治体主導の温室効果ガス削減計画と対策」の実行のための討論である。5人の執筆者による論点の提起が行われた。

河野 仁気候変動と温室効果ガス削減対策-自然エネルギー利用と環境保護の両立
 気候変動は勢いを増しており、温室効果ガス削減対策は急を要する。風力発電やメガソーラー等については、自治体が専門家や住民の意見を取り入れながら、ゾーニングなど計画立案を行い環境保護との両立を図る必要がある。自治体主導の事例として、岡山県西粟倉村、岩手県葛巻町、高知県ゆずはら町をとりあげ、自然エネルギーが村の産業振興に役立てている事を紹介。
歌川 学省エネ再エネによる2050年にむけたCO2削減と地域発展
 既存技術とその改良技術の省エネ、再エネ、燃料転換普及対策を検討。 全国でエネルギー起源CO2排出量を2030年に2013年比約70%削減、2035年約80%削減,2050年は既存技術と改良技術で95%以上削減が技術的に可能である。地域の対策可能性点検で3都県の試算を実施。対策は全体として費用効果的で、光熱費と設備費増の合計を全体として削減できる。
上園昌武自治体の脱炭素政策をどう改善すべきか
 自治体が脱炭素戦略を描けていない現状を指摘。交通体系の整備、緑地整備、住宅やビルの断熱化等の脱炭素化、地域社会と共存した再エネ普及など都市や地域構造の変革が求められている。地域経済の発展(地域経済循環、雇用創出)や生活の質の向上に繋がる施策が必要。
豊田陽介脱炭素社会の担い手と中間支援
欧州における気候変動対策の担い⼿と中間支援組織体制を紹介。⾃治体が影響⼒を持つ範囲は公共施設、公共交通、各種公共サービスの範囲にとどまる。 市⺠⽣活や事業活動に直接的に関与することは難しい。自治体はシュタットベルケや中間⽀援組織との連携を通じて、その影響⼒が及ぶ範囲を拡⼤させている。⽇本での自治体や都道府県温暖化防⽌活動推進センターによる⽀援のやり方について言及した。 
今井絵里菜政策決定プロセスにおける若者世代の関与
 過去12年間に取り組んだ若者団体による政府の政策決定への関与を分析し、成果を示した。 若者団体同士が連携し、成功事例を共有しながら、より多くの若者の声を届けることが今後の活動の鍵であると述べた。
<討論>福井と滋賀県境にある三十三間山風力発電計画がケーススタディとして取り上げられた。また、学校教育の必要性やネットを使って一般市民との対話を増やす必要性がある発言。大阪府忠岡町議員から温室効果ガス削減計画は公共施設のみで地域の計画は作られていないとの報告があった。                        (河野)

シンポジウム参加 2023年12月9日~12月10日
 日本科学者会議東京支部第22回東京シンポジウム(拓殖大学文教キャンパス) がオンライン併用で開催されました。第5分科会「2035年を見据えた気候変動対策の課題と市民社会の役割」(佐川が設置責任者)は、公害・地球環境問題懇談会(JNEP)が共催し、会場14人、オンライン6人で合わせて20人が参加しました。JSA-ACTのメンバーでは、佐川と歌川が報告。
 冒頭のJNEP長谷川事務局長の挨拶に続き、佐川が「2035年の電力・エネルギーをめぐる国内外の動向について」を報告。2024年はCOP29に向け、2035年を含む新たな目標を提出することになっており、国内では第7次エネルギー基本計画が出されることから、2035年の目標引き上げについて運動を強めていかねばなりませんが、それらの意思決定に向けて将来世代の意見が重要であることを確認しました。最近、2035年までの電力部門の完全ないし太宗の脱炭素化がG7で合意され、日本でも急速な転換が求められることになります。
 続いて、JNEPの奥田さが子さんが、「若い世代や学校現場で気候危機問題を考えるために」と題して、和光中学校・自由の森高等学校、都留文科大学での出前授業の取り組みを紹介しました。4年前は事前アンケートで、「再生可能エネルギーなんて知らない」と答えた生徒が半分もいたけれど、授業を通し、また同世代であるFFFと協働しての授業の工夫もする中で、認識を深め、自分たちに何ができるかを考えはじめるということを、授業後の感想やレポートも示しながら話されました。
 Fridays For Future Tokyo(FFF)の田原美優さんは、「若者の気候ムーブメントが目指す社会」と題し、ご自身の思いや取り組みをリアルに交えながらFFFの目的や政策について紹介。「気候正義」をめざす立場から、温暖化の被害だけでなく加害の責任も意識しながらやっていること、街角での対話や参加しやすいデモンストレーションを工夫してがんばっているということでした。質疑では、親の反対、周囲の目をどう感じているかといった議論が盛り上がりました。
 産総研歌川学さんは、「2050 年排出ゼロに向けた脱炭素対策と2035年目標」と題して、日本全体と地域の対策についての報告をされました。日本全国では、既存技術を中心で2030年に2013年比で70%削減、2035年には同80%の削減ができると定量的に示され、国全体では光熱費の削減効果が投資額を大きく上回り、得になる対策であることを紹介。地域は多排出事業所があるかどうかで大きく様子が異なりますが、それぞれの地域で大幅な削減が見込めるということでした。
 今回の報告を出発点にして、今後の削減目標の引き上げや具体的な対策を実施させるために若い世代とも協力した取り組みを進めたいと決意を新たにしました。     (佐川)